セーターにつつまれた 丸い背中

こたつに入ったまま

じっと テレビをみつめている

白く にごった そのまなざしの先に

いったい なにが うつっているの

ろくに語り合うこともなく

過ぎ去ってしまった 幾年もの月日

額に刻まれた 深くて哀しい 二本のしわが

決して返ることのない日々を わたしに見せつける

違う今が きっと あった

もっと 笑顔に してあげられた

ちいさくて おおきな 父の背中

とてつもなく 儚く思える