ただ 純粋に、悲しむことが できたなら、
どんなに、いいだろう。
そんなものは、ない。
悲しみには いつだって、
悔いの根が、生えている。
わたしは それを、
何度も 何度も えぐりだしては、
確かめるようにして ながめ、
再び もとへと戻し、
たっぷりと、水を まくのだ。
長い年月を かけ、
幾重にも 降り積もった 時間が
すべてを 覆いつくそうとも、
その根の朽ちることは
決して、ない。
奥へ 奥へと、
悔いの根は、ますます深く
遡って からみつき、
大地が枯れるほどに、涙をすいあげ、
大きな 大きな、かなしみの花を
この胸に、
咲かせつづけている。