藍色の星たちへ

こころの詩を描く旅。

2017年09月

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静けさの、底。

眠りつづけるわたしを 呼び起こした

小さな、雨音。

ポツリ、ポツンと、誘われて

天、見上げたならば、

にごった雲の、その先に、

白き光の、あることに、気づく。








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去年植えたバラのさし木が、ここまで大きくなった。

「さし木」とは、植物を繁殖させるための方法のひとつ。
ざっくり言うと、増やしたい植物の枝を10cmくらいに切って土に挿し、
そこから新たに発根させる、というものである。

もともと私は、庭木の手入れや草花の世話など、一切してこなかった。
それが今は、毎日この鉢植えをチェックし、
水をやったり、葉に虫がついていないか、日々の観察を怠らない。

それはなぜか。

この2つの苗は、単なる苗ではない。
我が家の庭に、長きにわたって植わっていたバラの老木の「 子供 」なのである。

その老木は、もういない。
去年5月の台風で、根元からグキリと、折れてしまったのだ。
たぶん、樹齢30年くらいにはなっていたと思う。

ほとんど放任で、なんの手入れもしてやらないのに、
毎年時季がくれば、ここにいるよと言わんばかりに見事な花を咲かせ、
私を驚かせてくれる。

そんな健気なバラの木が、台風一過、無残な姿で地面に横たわっていた。
あまりにも、突然のことだった。

世話など何もしてこなかったくせに、私は悔やんだ。
なんにもしてこなかったからこそ、悔やんだ。

このまま終わらせたくない。
なんとかして、このバラの命をつなぎとめたいと、強く思った。


母に頼み、さし木をしてもらう。

老木の枝を、ところどころ10本ほど短く切って、土に挿してはみたものの、
青々としていた枝は、真夏の暑さにだんだんと茶色くなり、
気づけば、残っているのは2本だけ。

もう、ダメかもしれない。
今日こそ、枯れているかもしれない。

毎日、恐る恐る さし木の様子を見に行き、祈るように、水をやり続けた。


2か月くらい、かかったろうか。
古葉を落とし、もはやただの棒切れのようになっていたその枝から、
新芽がひょっこりと顔を出しているのをみつけたときの感動は、
今でも、忘れられない。

それは ひとつの命が、新しい命へと、つながった瞬間だった。

うれしくて、涙がでた。
何かがとけだすように、あふれでた。

命ってすごい。すごいよ。と、
馬鹿みたいに、大泣きした。




台風がくる数日前、老木は、一輪の大きな花を咲かせた。
母が切り花にし、それは父の仏壇へと飾られた。

老木が台風に倒れた後も、残された切り花は、父の仏壇の前で長く咲き続け、
その枝からとったさし木が、写真左の、苗である。


そして右の苗は、私を二度、驚かせてくれている。

小さな5枚葉を3つ出したきり、成長がピタリと止まり、
春になっても微動だにせず、枝が茶色く枯れこんできてしまっていたのだが、
夏に入ってから、一年越しに再び、新しい芽を出してくれたのだ。

なんという、力強さ。

どんな状況にあろうとも、ただ懸命に、生きようとする。
あるがままの命の姿に、心の底から、感動する。





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この感動を、何か形に残しておきたい。
そう思い、久しぶりに木彫りに挑戦した。
新芽を出した時に描いたスケッチをもとに、彫っている。



私はこれまで、たくさんの大切な命を、だめにしてきた。
どんなに頑張っても、祈っても、救うことは一度もできなかった。

そんな私が、初めて、つなぎとめることのできた命。
老木の命が、新しい命へとつながったとき、
私は、バラではなく、自分自身の心が、救われたような気がした。 

それくらい、私にとってこの一連のできごとは、
とても大きな、かけがえのないものとなっている。






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オーブン陶土で作った 小さな小さな お人形。

なんだか自分の分身のように思えて、
見るたび ニンマリ、しています。





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もうひとつ、貼り絵が続きます。
これは姉への誕生日プレゼント。

ブック型ノートのハードカバーに施した貼り絵。
特に、裏表紙が気に入ってます。
青い屋根のお家が、メルヘンチックでとてもかわいいのです!





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笑顔あふれる、温かな家庭。
何よりも大切な、守るべきもの。

そんなことを思いながら、わたしは一人黙々と、
和紙をペタリ、貼っていく・・・

そうしてできあがった貼り絵は、自分でも驚くほど、
のどかで可愛らしい世界に なっていました。






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プレゼントを手にした姉は、「ありがとう~!」と、にっこり笑顔。
貼り絵を撫でるようにみつめながら、
とてもとても、喜んでくれました♪





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