数年前に描いた、小さな絵。
描いた絵は、どれも私にとって大切な宝物だけど、
これはその中でも、特別な一枚。
描いては塗りつぶし、描いては塗りつぶし、
ふっと、姿を現した。
パソコンではなく、絵の具で絵を描くようになった当初、
自分が描きたいのは、「命」というものだな……と、
そんなふうに、漠然と思っていた。
でも、それは 違かった。
私が、本当に描きたいのは、
自分自身の中にある、「せつなさ」なのだと。
最近になって、ようやく、そのことに気がついた。
もしも、感情というものに、色があったなら、
私の目に、いちばん美しく映るのは、「せつなさ」だ。
私は、絵が好きで好きでたまらなくて、それで絵を描いているのではない。
そんな健全な人間では、まったくない。
私が絵を描くのは、
絵の中に、自分の想いを、留めておくためだ。
生まれた命は、必ず、終わりを迎える。
今日の真実が、明日もそうだとは、限らない。
この世のすべては、とめどなく、流れる。
変わらぬものなど、ありはしない。
それでも人は、「永遠」を求めずには、いられない。
ひどく弱い、生き物だ。
だから私は、絵の中に、「永遠」を求める。
変わらぬ想いが、ここにあるのだと。
描くことは、その証。